レッドブル・ホンダ、1年目の通信簿。「雨降って地固まる」で土台はできた (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 また、以前のパートナーとは違い、レッドブルは対内的にも対外的にも車体性能の不備を認め、ホンダだけに敗因を押しつけるようなことはしなかった。

「チームの中でお互い正直に話をしていますし、それを正直に外にも言います。もちろん、パワーユニットが負けていることは、これまでの経験上わかっています。そんななか、彼らも解析内容を我々にきちんと伝え、『パッケージの問題だ』って誤魔化してもいいのに『車体にも問題がある』と言ってくれるのは、我々としては『雨降って地固まる』じゃないですけど、信頼関係が強くなる状況でしたね」(田辺テクニカルディレクター)

 レッドブルにとって新たなパートナーとの"移行の年"は成功裏に終わり、地は固まった。

 次は、それを土台にして高く飛ぶ番だ。

 今季は出だしでつまずいたマシン開発も、すでに問題点はきちんと把握し、2020年型マシンに向けて解決を期していると、テクニカルディレクターのヴァシェは語る。

「開発競争のなか、何をもって"解決"と言うかは難しいと思う。ただ、とにかく我々は開発努力を続けている。すでに来年のマシン開発にチームは集中しているが、来年に向けて答えを見つけたと信じている。それが正しかったかどうかは、来年の序盤戦に速いマシンを作り上げられるかどうかでわかる」

 次のターゲットは、レッドブルにとって2013年以来遠ざかっているタイトル争いだ。ホーナー代表も現実的な目標として、それを口にする。

「2020年もレギュレーションが変わらないことを踏まえれば、来年はタイトルに挑戦することができると思う。我々は正しい方向に向かっていると言えるし、我々が何かを大きく見誤っていないかぎり、来年はシーズン開幕当初からコンペティティブであるはずだ。メルセデスAMGは今年も強力だったし、来年も我々の目標であり続けるだろうが、我々は間違いなく彼らに近づいている」

 来年のことは、フタを開けてみるまでわからない。

 しかし、頂点は近づいている。彼らの2019年が、その自信を与えてくれるだけの内容と結果の実り多きシーズンであったことは間違いない。

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