レッドブル・ホンダ、1年目の通信簿。「雨降って地固まる」で土台はできた (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 パワーユニットも第16戦・ロシアGPで2基目のスペック4投入を決断し、続く日本ではモービルがついに改良型燃料を投入。ようやく、スペック4本来のパワーが引き出せるようになった。

 ここからの終盤戦のレッドブルは、再びメルセデスAMGと同等のレースができるようになった。マシンパッケージ、そしてチーム全体のパッケージとして、昨年からさらに一歩前へ進んだと言える。

「メキシコやブラジルのような標高の高いところで我々が有利なのは確かだけど、アメリカGPでも我々は非常にいいパフォーマンスを発揮して優勝に近いところにいた。日本GP以降は車体がよくなり、そしてパワーユニットも向上し、どのサーキットでもホンダはメルセデスAMGと同等のパフォーマンスを発揮している。

 メルセデスAMGと比べると、我々は車体面で少し後れを取っている。ただ、アメリカGPではそうだったけど、ブラジルGPでは少しうまくやれた。どういう速度域のコーナーで相手を上回れるかはサーキットによりけりで、(低速・中速・高速の)コンビネーションによってはセットアップ面も違ってくる」

 レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ヴァシェはそう指摘する。

 ホンダとのタッグが初年度から想像以上にうまくいったことについて、クリスチャン・ホーナー代表はこう語る。

「いろんな点で我々の予想以上だったよ。ホンダとの関係はすばらしく、信頼性もパフォーマンスもスペックを経るごとによくなっていった。それが最大のハイライトだったかもしれないね。

 チームにとっては、この13年間で初めてのエンジン変更に際した移行の年だった。だが、ホンダとのパートナーシップは初戦から非常にうまく機能した。メルボルンで表彰台を獲得し、その後も新スペックを導入するたびにパフォーマンスを向上させて、トップとの差を縮めていった」

 ホンダからレッドブルへ渡された年間開発計画はしっかりと守られ、計画どおりに開発が進み、計画どおりに性能向上も果たされた。これまでルノーの誇大表現にストレスを抱え続けてきたレッドブルにとって、この環境は非常に大きく、それがレッドブルとホンダの間に確固たる信頼関係を構築できた理由のひとつでもある。

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