レッドブル・ホンダ、1年目の通信簿。「雨降って地固まる」で土台はできた (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)



 開幕戦のオーストラリアGPでは表彰台に立ったものの、次は第5戦・スペインGPまで待たなければならなかった。一般的なサーキットではメルセデスAMGとフェラーリの速さが拮抗しており、レッドブルは水を開けられた。

 その状況が変わったのは、第8戦・フランスGPと第9戦・オーストリアGPで車体にアップグレードを投入してからだ。とくにオーストリアで投入したフロントウイングによって、空力の安定感は大幅に増し、マシンの挙動も改善された。

 また、それと同時にフランスに投入されたスペック3パワーユニットが効果を発揮し、オーストリアの標高の高さと酷暑のなかで、ついにライバルを凌駕。レッドブル・ホンダは初優勝を果たした。

 パワーサーキットのシルバーストン(第10戦・イギリスGP)では、ターボラグの問題さえなければポールポジションを獲得できた。その後、雨の第11戦・ドイツGPで優勝し、第12戦・ハンガリーGPではポールポジションを獲得。中盤戦のレッドブルは首位のメルセデスAMGを脅かした。それが、レースをエキサイティングなものにしたのは間違いない。

 シーズン後半戦、ホンダは満を持してスペック4を投入し、パワーユニット性能でメルセデスAMGに追いつくことを視野に入れた。しかし、車体の開発が遅れたことによりトータルパッケージでメルセデスAMGに先を許し、フェラーリもパワーユニット運用のグレーゾーンを突いて予選でのスペシャルモードを進化させてきた。結果、レッドブルは再び苦戦が続く。

 第15戦・シンガポールGPは、「マシン特性的に勝てる」という大きな期待感があった。しかし、シミュレーターの不備からセットアップの方向性を完全に誤り、勝つことができなかったのも痛かった。

 夏休み明けのフェラーリのマシン開発に危機感を持ったレッドブルは、第17戦・日本GPに空力アップグレードを投入。前後ウイングとも計画どおりに使うことができなかったため、鈴鹿ではすぐに威力を発揮することができなかったものの、次の第18戦・メキシコGP以降はその効果が見られた。その結果、車体性能で再びフェラーリを凌駕することになった。

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