スーパーGT対DTM。日独モータースポーツ交流戦、夢の続きに期待 (2ページ目)

  • 川原田剛●取材・文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • photo by GTA

 でも、その苦い経験やデータをもとにチームが研究を重ねて、タイヤに合わせたマシンを作ってくれました。それに富士は路面のミューも高いですし、僕らにとっては庭のようなものです。また予選前に練習走行の時間がかなりあったので、タイヤに慣れる時間が十分にありました。

熾烈な争いのレースが次回も開催されるのか注目される熾烈な争いのレースが次回も開催されるのか注目される おそらく現在の状態でホッケンハイムに行けば、10月のような一方的な結果にはならなかったと思います。もちろんDRSと"プッシュ・トゥ・パス"を使わないことが条件になりますが、DTM勢とかなりいい勝負ができると思います。ドライバーとしては、これからもDTM勢とガチンコの勝負をしたいですね」(平川)

 土曜日のレースを制した平川のチームメイト、ニック・キャシディも「スーパーGTとDTMのドリームレースが実現して本当にうれしい。交流を増やしてどんどん走り込んでいけば、それに伴ってタイムもどんどん接近し、バトルが増えていくと思う。DTMにはすばらしいドライバーとメーカーがそろっているので、彼らと一緒に走る機会がもっと増えていくことを願っているよ」と語っていたが、ドライバーたちからは今後もスーパーGTとDTMの交流イベントを続けてほしいという肯定的な声が相次いだ。

「同じルールで戦う自動車メーカーが増えれば単純にお客さんはいろんなマシンが見られて楽しいだろうし、スタートもすごく迫力があり、さらにシリーズの魅力が増えると思います。それで日本のドライバーたちが海外で戦う機会が増えれば、これからレーシングドライバーを目指す子供たちにとっても世界で活躍するという夢や可能性が広がっていくと思います。そのためにも両シリーズの交流をもっと深めていってほしい」(塚越広大/KEIHIN REAL RACING)

「日本とヨーロッパのドライバーがお互いにプライドをかけて臨んでいるので、僕自身もファンのみなさんも楽しめたと思います。ただ交流戦を経験して、あらためてスーパーGTのフォーマットはすごくよくできていて、楽しいと感じました。最上位のGT500と300クラスのマシンが混走しており、常にバトルがあります。さらに各メーカーによるタイヤの開発競争もあるので、レースの展開が大きく変わりやすい。やっぱりワンメイクタイヤだと、なかなか展開が動きづらいと痛感しました。でも、こういう交流はすばらしいと思いますので、これからも続けていってほしいです」(山本尚貴/TEAM KUNIMITSU)

 ただ、今回のレースに携わる全員が諸手をあげて賛成しているわけではない。あるチーム関係者からはこんな声が聞かれた。

「レースは面白かったと思いますが、メーカーやチームにはかなり負担がかかっています。正直、今回のレースはチームの持ち出しのような形になっています。例えばレース2では大きなクラッシュがありましたが、誰かがマシンを修理しないといけないんです。その費用を誰が負担するのか。全力で戦うからには、出場するメーカー、チーム、ドライバーにきちんとしたメリットや保証がないと続けられないと思います」

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