2019.11.19

MotoGP2019シーズンも総合優勝のマルケス。目指す先は「全戦全勝」

  • 西村章●撮影 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 2020年のマルケスにとって最大のライバルがこのクアルタラロになるであろうことは、おそらく誰にも異論がないだろう。

 このふたりは、〈悠揚迫らぬベテラン世界王者〉vs〈みずみずしい才能に溢れる新人ライダー〉、というスポーツの世界では王道の対抗図式に見えて、じつは26歳対20歳、という若者同士の対決である。両者がともに、今後もずば抜けた才能をさらに開花させ続けていけば、今後のMotoGPはおそらく5年以上は黄金時代が続くことになるだろう。

 その一方で、今回の第19戦バレンシアGPでは、ホルヘ・ロレンソがこのレース限りで現役を退く、と発表したことも大きなニュースになった。

引退を発表したホルヘ・ロレンソ 250ccクラスを連覇して2008年にヤマハファクトリーチームから最高峰クラスデビューを飾ったロレンソは、同チームで9年間過ごして3回の年間総合優勝を達成。レースキャリア全体では5回の世界王者に就いた実績の持ち主だ。2017年にヤマハを離れてドゥカティへ移籍し、今季からホンダファクトリーであるレプソル・ホンダ・チームの所属になった。

 鼻っ柱がやたらと強かった十代の頃のイメージが強いせいか、いまだに独善的な印象を持たれがちなこともあるようだが、じつは驚くほど素直で人当たりのよい一面も持っている。

 もちろんレースに関しては、己の能力に対する深い自信と、一流ライダーとして強い矜恃を持っている。ところが、ドゥカティ時代の昨年秋からケガが続き、今年のシーズン中盤には胸椎を骨折して数戦を欠場する、という大きな負傷も抱えた。

「ただ走るだけなら、まだ継続できる。しかし、勝利を目指して研ぎ澄まされたギリギリの戦いをできない状態で参戦を続けても、意味がない」と、頂点を競う強いモチベーションを喪失したことなどを理由に、引退を決意した。

 ロレンソは現在、32歳。世間的には、まだまだこれから、という年齢である。