ブラジルGP優勝。ホンダパワーがセナの母国で本田宗一郎の誕生日を祝う (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 車体も日本GP以降は「着実に良くなっている」とレッドブルのテクニカルディレクターのピエール・ヴァシェは語る。

「この標高の高さがプラスに働いたことは確かだ。しかしUSGPでも好走を見せたように、それだけが理由ではない。我々は車体面でまだメルセデスAMGに後れを取っているとはいえ、日本GP以降はセットアップの方向性を変えてかなりパフォーマンスを改善して来た。そしてパワーユニットも(新型燃料投入もあり)日本GP以降パフォーマンスを上げている。初めてきちんとレースをできたことでそれがようやく証明できたんだ」

 まるでセナの力が働いたかのような1991年日本GP以来28年ぶりとなるホンダの1−2フィニッシュだったが、レッドブル・ホンダの勝利は不思議な力によるものでも何でもなく、実力以外の何者でもなかった。

 そしてガスリーの2位表彰台も、中団グループ最上位にいたからこそ巡ってきた絶好のチャンスを、実力があったからこそ掴み獲ることができた。上位勢の脱落という幸運はあったが、それを掴み獲ったのはトロロッソ・ホンダとガスリーの実力だ。ハミルトンのピットインでホンダ勢が1−2−3になった時から、ホンダもアルボンとガスリーのパワーユニットを持てる限りのパワーを絞り出して彼らの走りを後押ししていた。

 第2期の頃にセナとともにレースを戦った経験を持つ田辺テクニカルディレクターは、当時とほとんど変わっていないインテルラゴスでセナに思いを馳せながらこう語った。

「セナとホンダの仲というのは色々語られていますけど、我々にとっては本当に思い出深いドライバーですし、ブラジルは彼の母国です。その場所で今日、1−2というかたちで結果を出すことができたのは本当に喜ばしいことだと思っています。(セナ没後25年を記念して)MP4/4が走っていましたけど、スタンドでセナコールが起きるなど、応援もすごかったですよね。私も見ていたんですけど、セナの偉大さと今も愛されているというのを肌で感じました。その場所で勝てたのは本当によかった。もう1人、天国から見ていた本田宗一郎さんと、2人にも胸を張れる結果が今日は出せたんじゃないかなと思います」

 これまでの2勝よりも圧倒的に意味の重い3勝目と1−2フィニッシュ。このブラジルでレッドブルとトロロッソ、そしてホンダが大きく前に進んだことは間違いない。

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