バレンティーノ・ロッシ、40歳からの逆襲。
「畜生。まだあきらめるもんか」

  • ニール・モリソン●取材・文 text by Neil Morrison
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 ロッシが逆境を覆せないなどと言ったのは、いったい誰だ? 私も、ロッシについて過去に書いた記事では間違いを犯した。それは正直に認めよう。だが、ビニャーレスやクアルタラロの走りに追いついていない今年のロッシの苦戦は、彼らふたりとは少し状況が異なっているのだろう。

 さて、ここで現実的な問題をひとつ。40代の年齢に到達したライダーが、自分の半分ほどの年齢の選手たちを向こうに回して、あとどれくらい互角に戦えるだろうか?

 ひとつ明白なことは、〈時間が自分の味方をしてくれる〉わけではない、ということだ。だが、我々はこの10年、同じことを彼に対して言い続けてきたのではなかったか? 〈歳月人を待たず〉という諺にも例外があるのかもしれない。チームスタッフの変更やライディングスタイルの改造が効果を発揮すれば、我々はおそらく、自分たちの下してきた判断を見直さなければならないだろう。

 つまり、バレンティーノ・ロッシは、今も昔も我々を瞠目(どうもく)させる人物である、ということなのだ。

西村章●翻訳 translation by Nishimura Akira

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