バレンティーノ・ロッシ、40歳からの逆襲。「畜生。まだあきらめるもんか」 (5ページ目)

  • ニール・モリソン●取材・文 text by Neil Morrison
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 メレガリはまた、ムニョスの加入は新鮮なモチベーションをチームに導入するよいチャンスになるだろう、とも話す。「この変化を、バレンティーノはきっと有効に活かすでしょうね」

 ことはムニョスの加入にとどまらない。クアルタラロがすばらしい能力を発揮し、マシンの持ち味を最大限に引き出して好成績を収めているのは周知のとおりだが、ロッシはYZR-M1の新しい乗り方を習得することにシーズン後半を費やしてきたのだ。

 クアルタラロはコーナー進入が優れている、とロッシは分析している。「ファビオはとてもスムーズに乗っていて、ブレーキが優れている。彼はバイクの減速がとても巧みなんだ」とブリラムで述べた。

 ロッシは第11戦・オーストリアGPから、親指でリアをコントロールするサムブレーキを使い始めた。もてぎでは、フロントブレーキの操作も従来の2本指から(ビニャーレスのような)3本指へと変えている。ブレンボのエンジニアよると、データを見ればわずかな違いが発生していると言う。つまり、彼はただ座して運命を待っているわけではない、ということだ。

「今も乗り方を変えようという努力をしているんです」と、メレガリはセパンで明かした。

「けっしてあきらめてなどいないですよ。日本へ行く前には、ミザノで今までと違うブレーキやスロットルの開け方にトライしていました。尊敬しますよ。今まで数々の偉業を達成してきて、今なお自分自身を改善しようとしているのですから。フィリップアイランドでは、早くもその成果が現れていました。今の問題は、トップスピードが厳しいために他の選手を引き離すことができない、というところです」

 たしかに曙光は射している。オーストラリアGPでのロッシは、序盤3周にトップを走行していた。リアのグリップが(予想どおり、というべきか)落ちて、トップスピードに伸び悩むと、やがて8位に沈んでしまったのだが......。

 マレーシアでも、ロッシはチームメイトに先行を許す結果になった。だが、このレースでロッシは43カ月ぶりにファステストラップを記録したのだ。「今回はタイヤがうまく持ってくれて、最終ラップまで力強く走ることができた」と、レースを終えた夕刻にロッシは話した。

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