レッドブル・ホンダ問題山積。フェルスタッペンの大口は不安の表出か (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一方、メキシコでは標高の高さゆえにパワー差が縮まり、冷却をさほど要求しないパワーユニットのおかげもあって、空力性能をライバルほど落とさずに済んだ。しかし、平地に戻ったサーキット・オブ・ジ・アメリカズでは、また鈴鹿の時のような差に逆戻りする可能性も十分に有り得る。

「そうじゃないことを祈っているけどね。鈴鹿の時よりは(上位勢に)近づければと思っているけど、ここのサーキットも、レイアウトや速度域的には鈴鹿と同じくイージーなサーキットじゃない。慎重にならなければならない」(アルボン)

 メキシコの快走は、あくまで標高2200メートルという特殊な条件下だからこそのものであり、このサーキット・オブ・ジ・アメリカズでは元の木阿弥となってしまう可能性は十分にある。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターに水を向けると、同じ答えが返ってきた。

「メキシコは特殊な条件下でしたから、どこのメーカーもそれなりに合せて来ているとはいえ、平地と高地のバランスは各メーカーでそれなりに違ったのかなと思います。(もとの状態に戻る可能性は)ありますね。何が出るかは走ってみないとわかりません。パワーユニットについて、とくにびっくりするような話はどこにもなくて、(メキシコGP以前の)今までどおりです」

 サーキット・オブ・ジ・アメリカズには長いストレートがあり、フェラーリはここが自分たちにとって有利になると見ている。

 しかし、それはパワーユニットの優位だけではなく、ドラッグ(空気抵抗)が小さく最高速が伸びるからこそのアドバンテージだろうと、田辺テクニカルディレクターは見る。

 ストレートが長いとはいえ、1周全体での全開率は62%程度。そこまで極端にパワーの優劣がラップタイムを大きく左右するサーキットレイアウトではないからだ。

「ストレートがあってフェラーリが得意だというのは、パワーユニットの話じゃなくて(ドラッグが小さいという)マシンパッケージの話ですよね。じゃあ、パワーユニット的に見てどうかと言われると、パワーユニットにとってここはチャレンジングな要素のない、普通のサーキットなんです。しかし、マシンパッケージ全体として見ると、長いストレートが2本あるので、また『フェラーリはストレートだけで0.7秒(稼いでいる)』という話になるかもしれません」

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