レッドブル・ホンダ、予選最速もまさか。不用意なドライビングも課題 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ホンダのパワーユニットが熱に強いというのも、もうひとつの要因と言えたようだ。

 冷却系の油温・水温がある程度上がっても、攻めて使うことができる。空気が薄く冷却性能が落ちる高地のメキシコシティでは、多くのチームがいつも以上にカウルに大きな穴を開けて対策していた。だが、レッドブル・ホンダのそれは他チームに比べて小さかった。そのおかげで空力性能のロスも小さくて済んだ。

「油水温が厳しいところでもがんばれるパワーユニットだから、空力的に(カウルを)ガバッと開けなくて済んでいるという点では、車体パッケージとして効いているところがあります。エンジンが(高温でも)がんばれるから空力性能を高めるほうに振ることができる、という面もあるわけです」

 スペック3投入直後の第8戦・フランスGPでは、ややマージンを残した使い方をしていたが、その実走データをもとにセッティングを煮詰め、より過酷な条件でもパワーが落ちないようにした。その効果が発揮されたのが、異常な暑さに見舞われた次戦オーストリアGPでの優勝だったが、空気が薄く冷却が厳しいメキシコシティでもそれが働くことになったのだ。

 加えてレッドブルの空力パッケージの素性、そしてメカニカル性能が組み合わさって、予選では最速のマシンとなった。

 金曜から決勝だけを見据え、タイヤマネジメントを最優先にマシンを仕上げたからこそ、予選一発でのここまでの速さは、チーム自身も想像していなかった。

「ここ数戦の僕らはストレートラインでかなりロスをしていて、ほとんどのサーキットではストレートで失った分をコーナーで取り戻せなかった。メキシコでもストレートでのロスは大きいものの、ここはコース自体のグリップがすごく低いので、空力だけでなくメカニカルグリップも普段以上に重要になるんだ。

 シンガポールGPではセットアップをミスしてしまったけど、あれがなければ僕らはシンガポールですごく速かったはずだ。シンガポールで多くを学んだことで、ここのレースに向けてシミュレーターでしっかりと準備を整えることができた。だから今週末は、現場でセッティングをあれこれ変える必要がなかった」(フェルスタッペン)

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