70歳で現役。伝説のラリードライバー篠塚建次郎は「喜寿まで走る」 (4ページ目)

  • 川原田剛●取材・構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

――少し話が逸れますが、今、高齢者の運転が問題になっていますが、どういうふうに考えていますか?

 ある年齢になったら一律に免許を返納しなければならないというのは、問題だと思います。70歳といってもすごく若々しい人もいますし、全然運転がダメな人もいます。90歳でも大丈夫な人もいます。運転は個人差が大きいんです。逆に車を取り上げてしまうと、実際に要介護のリスクが高まるという調査結果もあります。車の運転というのはすごく緊張しますので、身体や脳にはいい刺激になります。

 たとえば75歳になったら必ず実地の検定を受けて、免許を返納すべきか否かの判断をすべきだと思います。そういう施策が必要でしょうね。繰り返しになりますが、年齢で一律にバサっと切って免許を取り上げてしまうのはよくないと思います。

――2002年に53歳で大企業の社員ドライバーをやめてフリーランスとなりましたが、ご自身のドライバー人生に後悔はないですか?

 まったくありません。自分の決断は間違ってなかったと思っています。もちろんラリーを続けるための資金集めはたいへんです。いまだに頭を使って企画書を書いて、いろんな会社に出かけて、若いスタッフに「スポンサーをお願いします」と頭を下げていますが、それも刺激があって面白いですよ。

 僕と同世代の大半の人間は、日本のサラリーマンとして会社に滅私奉公し、会社の肩書で仕事をしていたので、会社の名刺がなくなると何もできなくなってしまう人が多いんじゃないでしょうか。

 幸い、僕は今でも現役でラリードライバーを続けながら、ソーラーカーや電気自動車などのレースに参加し、若い学生たちとも触れ合うことができています。今、東京大学の学生とコラボしてクラシックラリーにも出ているのですが、今回のアフリカ・エコレースに参戦できたら、イベントが終わったあとは彼らを連れてモンテカルロに行く予定になっています。学生たちと一緒にいると、いろいろな刺激を受けて、本当に楽しいですね。

 ただ残念なのは、ラリーの世界で活躍したパジェロが2019年に国内販売を終了し、ランエボが2015年に生産を終了したことですね。ともに三菱の看板とも言えるクルマですので、なんとか残せなかったのかな......と思っています。

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