F1日本GPで痛感したフェラーリとメルセデスの「違い」 (3ページ目)

  • 川喜田研●取材・文 text by Kawakita Ken
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一方、スタート直後、1~2コーナーでの接触でフロントウイングにダメージを負ったルクレールは、その後、ノーズ交換で最後尾まで転落。そこから鬼神の追い上げを見せ4位でフィニッシ......と、攻撃的なドライビングで鈴鹿の観衆を沸かせた。

 だが、レース終了後に「フェルスタッペンとの接触」のペナルティで5秒加算。「ウイングが壊れたままの危険な状態で3ラップ目まで走り続けたこと」のペナルティで10秒加算と、合計15秒加算で7位降格......。ここではルクレールの未熟さと、チームの判断ミスが重なった。

「もし、スタートが成功していれば」「もし、オープニングラップの接触がなければ」、「あの時ダメージを受けたルクレールのマシンをすぐにピットインさせていれば」......。こうした小さな「ミス」と、いくつもの「もし」の向こう側で、目の前にあるチャンスを確実に刈り取れずにいるのが現在のフェラーリだ。その代償はシーズン後半に入りSF90の戦闘力が高まるつれて、むしろ、大きくなりつつある。

「全員が最大限の努力を続けていることは疑いようもないし、その成果も確実に出ている。その一方で、僕たちはまだ、小さなミスによってチャンスを失うことが多い。メルセデスと対等に戦うためには、チーム全体がすべての面でさらにレベルアップする必要があると思う」とレース後のベッテルは語っていた。

 彼自身のミスも含め、チーム全体の仕事の質を高め、「ミスを最小限に抑える」という部分で、現状、メルセデスとフェラーリの間には依然として大きな差があるのは事実だろう。

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