2019.10.11

F1上位2チームのドライバー比較。ハミルトンとベッテルの違いとは

  • 川原田剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 世界チャンピオンになると、そういうことはなかなかできないのですが、彼は2016年にロズベルグにタイトル争いで負けたあと、徹底して取り組んでいるように見えます。そうすることで自分の周りに味方を増やし、心に余裕を持ちながらレースに挑んでいるのです。だから許容範囲が広がり、どんな状況にも冷静に対応できるので、圧倒的な強さを発揮できていると思います。

 フェラーリはPUの性能に関してはメルセデスを上回っていますし、本来であればもっと結果を残せていたはずです。でもエースを務めるセバスチャン・ベッテルは、悪い流れの時に踏みとどまることができなかった。

 今シーズンのフェラーリとメルセデスの成績には、エースドライバーの悪い流れをいい方向に変換していく能力の差が、そのまま反映されていると僕は感じています。

 しかもF1参戦2年目の若いシャルル・ルクレールが急成長を遂げたことが、ベッテルのメンタル的に弱い部分を刺激してしまった。その結果、フェラーリの勢いを止めてしまっているように見えます。

 ベッテルのドライビングは一流ですし、うまさもあります。ロシアではスタート直後にルクレールが後ろから追いかけてきても、寄せつけませんでした。あれはベッテルの意地ですよね。でも年齢を重ねてくると、ロシアのレース序盤で見せたようなパフォーマンスをコンスタントに発揮できなくなってくるのです。

 キミ・ライコネン(39歳/アルファロメオ)を見ているとよくわかります。クルマの調子がいい時には100%の力を出してきますが、少し波がある。そういう中で何が必要かといえば、ハミルトンのようにメンタルで補っていくしかないんです。

 結局、トップクラスのスポーツで重要なのはメンタルです。F1に限りませんが、どんなスポーツでもトップレベルにいくと選手の能力に大きな差はありません。そうなると最終的にメンタルをしっかりとコントロールする能力が高い人が、コンスタントに強さを発揮することができるのです。