レッドブル・ホンダは鈴鹿で勝てる? 元F1ドライバー中野信治が分析した (2ページ目)

  • 川原田剛●構成 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 実は、彼のチームメイトだったピエール・ガスリーもフェルスタッペンとまったく同じことを訴えていました。「クルマがナーバスで、すごくオーバーステアだ......」と。でも、ガスリーは思うようにタイムを出せないままなのですが、フェルスタッペンは乗りこなしてしまうのです。

 フェルスタッペンがガスリーよりも常に速いタイムで走れるのは、優秀なエンジニアがついていたり、レッドブルでの経験が長かったり、いろいろな理由があると思います。でも一番の要因は許容範囲の広さであり、それがフェルスタッペンのドライバーとしてのすごさだと僕は感じました。

 そのフェルスタッペンと後半戦の幕開けとなったベルギーのスパ・フランコルシャンからコンビを組むことになったアレクサンダー・アルボン。トロロッソからレッドブルに昇格したアルボンがどんな走りをするのかすごく注目していましたが、驚いたのは、彼が今年デビューしたばかりの新人にもかかわらず、非常に落ち着いて物事に対処していることでした。

 彼とチームの無線でのやり取りをずっと聞いていると、やっぱりアルボンも前任のガスリーと同様にマシンに苦しんでいました。走り始めからオーバーステアで、すごくドライビングが難しいと話していました。それでもアルボンはパニックにならず、クルマの状況を担当エンジニアに正確にフィードバックし、自分が乗りこなせるクルマにするためにセットアップを着実に進めていました。

 もちろんガスリーがどういう状況だったかという知識があらかじめあったことは、アルボンにとって大きなアドバンテージだったと思いますが、それでも常に落ち着いて仕事をこなしている姿は印象的でした。

 アルボンは、まだレッドブル・ホンダでのレース数が少ないので判断するのは難しいですが、レッドブルのクルマにガスリーよりもうまく対処できているように感じます。だからガスリーに比べると、フェルスタッペンとのタイム差は少なくなっているのだと思います。

 フェルスタッペンのような将来チャンピオンになる才能を秘めているのかどうかはまだ見えていませんが、ドライバーとしての能力は間違いなく高い。着実に結果も残していますし、これからが楽しみです。

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