26歳で8度目。マルケスは「いつもと同じように」王座を獲得した (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 今回も、マルケスは最終ラップにロングストレート終端のハードブレーキングで前に出ると、後半セクションでもクアルタラロに先行し続けた。しかし、今回は2戦前と違ってクアルタラロが最終コーナーで乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負を仕掛け、マルケスのインに飛び込んできた。

「あそこで勝負しないと、次の日本GPまで寝られなくなる(くらい後悔する)と思ったので、イチかバチかで突っ込んだ」

 クアルタラロはレース後にそう振り返ったが、やはり今回もマルケスのほうが勝負は一枚上手だった。

 進入で深く突っ込み過ぎてコーナー出口ではらんでゆくクアルタラロに対し、きれいにラインをクロスさせてすばやく立ち上がったマルケスが0.171秒先にゴール。宣言どおりに、優勝で4年連続6回目のMotoGP王座を決めた。中小排気量クラスと合計すると8回目の世界タイトルとなることから、ビリヤードの8ボールを模したセレブレーション走行で王座獲得を祝った。

「序盤5、6周でドヴィに対して差を開いたけれども、今日のレースではファビオがものすごく速かった」とマルケスはレースを振り返り、「レース終盤に3周ほどじっくり様子を見て、行けそうだったので最終ラップに勝負をした。ミザノ(サンマリノGP)と同じように仕掛けたけど、今回は最終コーナーでファビオが仕掛け返してきた。彼はどんどん強くなっているので、来年はタイトル争いの厳しい相手になると思う」と、年若いライバルにエールを贈った。

 一方のクアルタラロは、僅差のバトルに負けた直後はやり場のない感情にバイクの上で身をよじっていたものの、しばらくすると冷静さを取り戻し、「最後は本当に悔しかったけど、8回の世界チャンピオンと最後の直線まで争えたのだから」と、今回の敗戦を前向きに受け止めた。

 そんな彼に、前回のミザノと今回ではどちらのほうが悔しかったのか、と単刀直入に訊ねたところ、「もちろん、今回だよ」と率直な笑顔で即答した。

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