2019.10.07

外国人記者が今季F1のトップ争いを分析。「現在の最強はフェラーリ」

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 事実、シーズンの前半はメルセデスが最強のマシンであり続けたのだから、その判断は正しかったと言えるだろう。彼らがここまでの2019年シーズンで、限界まで性能を発揮できていたのは、マシンの信頼性が高く、分厚いデータの蓄積を通じて、その特性を深く理解していたからにほかならない。

 ただし、車体性能に関するここからの「伸びしろ」という点では、長年「キープコンセプト」を続けてきたメルセデスに比べて、新たなデザイントレンドに挑戦しているフェラーリにより多くの潜在的な可能性があるかもしれない。フェラーリのコンセプトが本領を発揮するのは、まだこれから、というところだろう。

 実際、フェラーリがSF90に施した最新アップグレードを見れば、彼らの主眼がすでに2020年用マシン開発にシフトしていることがよくわかる。後半戦のフェラーリを大きく飛躍させた、SF90のアップデートは、来季のマシン開発の方向性を見極めるための「開発テスト」の側面を帯びているのだ。そして、現在のSF90の状況を見れば、彼らは「正しい道」を見出しつつあるようだ。来年の仕様はおそらく全マシン中のベストになりそうな気配である。

 一方、これが事実なら、メルセデスはちょっと面白いジレンマに陥ることになる。当然ながらメルセデスもすでに2020年と2021年に向けた設計に注力をしているが、彼らが来季のマシンデザインで、独特のサイドポッド形状と、リアの車高が高く、ホイールベースが短いフェラーリのスタイルに追随するのか、それとも、彼ら独自の道を行くのかは興味深い。

 だが、このまま現在のデザインコンセプトに留まり続けるなら、来年のメルセデスは厳しいシーズンを過ごすことになるかもしれない。すでに新たなデザインコンセプトの方向性を見出しつつあるレッドブルとフェラーリが、この先、どんどん性能を上げる一方で、キープコンセプトのメルセデスには、彼らと同様の上げ幅を期待するのが難しいからだ。