佐藤琢磨がインディ年間王者を狙うには何が足りないのか? (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは2020年シーズン、3カーへと体制を拡大するのではないかと噂されている。チーム・ペンスキーは3台、アンドレッティ・オートスポートは4台プラス提携チームの1台の計5台。チップ・ガナッシ・レーシングは2カーだが、2020年には他チームとの提携することも検討中と言われる。これら三強と戦い、チャンピオンチームとなるために、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、もう一段のレベルアップが必要だ。

 そのために彼らは優秀なドライバーをもう1名加え、有効なデータをより多く収集できる3カー体制への移行がマストと考えているようだ。容易ではない資金確保についても、営業スタッフは着々と成果をあげている。

 データを活用し切るために、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはエンジニアリング部門をさらに強化する必要もある。常勝チームとなるためには、優秀なクルーの確保や彼らの訓練も行なわなければならない。チーム・ペンスキーが2人のドライバーをタイトル争いに送り込んでいるのは、ピットストップのスピードと確実性がシリーズナンバーワンであることも大きく影響している。

 所帯が大きくなればコントロールは難しくなる。だが、チームの一体感を保ちながら体制を拡大、強化しなければ、シーズンを通してトップコンテンダーであり続けることは難しい。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはそれを目指しており、琢磨はその中心的存在としての活躍が求められている。

 この2年間、琢磨はほぼ求められているとおりのパフォーマンスを発揮しており、まだ正式発表はないものの、2020年も同じチームからインディカー・シリーズにフル参戦を行なうことになるだろう。そこでの目標は、今シーズン半ばまでは実現していたタイトル争いを、今度はシーズン最終戦まで続けることだ。



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