「ホンダの総力の結集」をF1責任者が語る。前半戦2勝は予想以上 (4ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「HRD Sakuraの数百人だけで戦うのではなくて、ホンダの研究所全体から必要な人材・知見を持ち寄ってF1を戦うべきだ、という姿勢でやってきた。そういう意味では、私も田辺もその一環として、世界に散らばっているホンダの人材のなかから(適材適所で)HRD Sakuraに集結したと言える。MGU-Hにしても、当初はその知見がなくて苦労したけれど、実はホンダの社内にその知見があったわけです」(浅木執行役員)

 ホンダジェットのみならず、現在ではさまざまな部署との連携も進んでいるという。

 普通の企業ならば、縦割りの部署同士の連携は、そう簡単にできるものではない。ましてや、HRD Sakuraと和光や栃木など、別々の場所にある組織だ。

「『このクソ忙しいのになんだ』という反応も覚悟していたんですけど(苦笑)、いざやってみると、彼らも10年単位でやっていて、25歳の時に研究を始めて35歳で世に出るような仕事をやっている人たちだから、シミュレーションがどのくらい当たっているかどうかがすごく速いサイクルで実証できるので、今となってはF1の短いサイクルの仕事に携わって『お互いよかったね』という話になっています。

 長いスパンの開発だけをやっていると、気持ちの維持も大変です。ですから、F1みたいに短いスパンでやって結果が出ることは、やり甲斐があると言ってくれています。F1という旗印の下だからこそ、各開発センターのセンター長たちが協力してくれた、というのはありますね」

 まさに、ホンダの総力を挙げての戦いが始まり、その成果が結果に結びつき始めたのが、この2019年シーズンというわけだ。

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