佐藤琢磨はスケープゴートか。インディ多重クラッシュで「犯人扱い」 (4ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

「ステアリングを切っていない」と主張している2人が接触したのは、マシン群の巻き起こすタービュランス(気流の乱れ)、路面のうねりや継ぎ目によって、彼らのマシンが僅かにラインを変えたからだろう。そうであればレーシングアクシデントだから、どちらか一方が責めを負うべき性格のものではない。インディカーは琢磨への誤った裁定を取り消すべきだろう。

 フェンスの修復、コースの清掃のためにレースは45分間ほど赤旗で中断。再開されると、200周のうちの128周をしたところで雨が降り始め、それが豪雨に変わったことから、フルディスタンスを戦うことなくレース成立となった。

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季初優勝。ポコノでの3勝目は、自身にとっての13年連続の優勝ともなった。2位はランキング4番手につけて6度目のタイトルを狙っているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。3位は今年のインディ500ウィナーで、2度目のタイトルを目指してランキング3番手につけているシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)だった。

 ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は5位でのゴールとなった。ニューガーデンとロッシのポイント差は16点から35点に広がったが、ランキング上位5人のポイント差は縮まった。残るは3戦だ。

 インディカーとポコノは、来シーズン以降のレースを開催し続ける契約を更新していない。ニューヨークに近い開催地であるポコノの代わりとして、ワシントンDC近くのリッチモンド(ショートオーバル)をカレンダー入りさせるとの噂もある。シリーズ復帰から7年で3回目の大きなアクシデントが発生したことで、ポコノでのレースは今回が最後となるかもしれない。

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