もっとコース上での追い抜きを! F1新レギュレーションを巡る駆け引き (4ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 だが、F1の未来を大きく変える、こうしたレギュレーションの改革案についてはチームや自動車メーカーからもさまざまな異論があり、2021年案がすべて最終案として採用されるのかは定かではない。また、たとえ、そうなったとしても、そのルール変更が実際に良い方向に作用するかはわからない部分も多い。

 F1を長年「モータースポーツの頂点」たらしめてきたのは、「世界トップレベルのドライビングスキル」と「技術の粋を集めたマシンの開発競争」の組み合わせがあったからにほかならない。主催者が「コンペティティブなレース」や「予想不能なレース展開」を重視するあまり、F1の大きな特徴であった技術開発の余地を制限しすぎてしまえば、F1がその存在意義を失い、フォーミュラEのように「運」が大きく結果を左右するレースになってしまう危険性もあるだろう。

 果たして、どんな「F1の未来像」を描くのか、そしてそれを「どのようなレギュレーション」を通じて実現するのか? 2021年のレギュレーション確定にむけた「デッドライン」は着々と近づいており、シーズン後半のF1ではコース上の戦いの裏で繰り広げられる、「新レギュレーション」を巡るF1主催者やチーム、自動車メーカーの駆け引きにも注目したい。

(西村章●翻訳 translation by Nishimura Akira)

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