今季F1の前半戦総括。レッドブル・ホンダがレースを面白くしている! (3ページ目)

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 一方、2019年シーズンで今のところ最も手に汗握る戦いが繰り広げられているのは、マクラーレン、ルノー、トロロッソ、レーシングポイント、ハース、アルファロメオがレベルの接近した争いを演じている中段グループだ。

 今年のマクラーレンはここ数年でもっともいい仕上がりだが、ルノーのパワーユニットがやや厳しいようにも見える。そのルノーは、ファクトリーチームが何百万ユーロもの資金を投下したにもかかわらず、狙いどおりの性能アップを果たせないでいる。フェラーリのパワーユニットを使用するハースとアルファロメオは、シャシーに関してはともにまずまずと言えるだろう。

 だが、ハースは空力パーツのアップデートが期待どおりの性能につながらず、その後のマシン開発が迷走。仕様が定まらないために結果がついてこない。アルファロメオの場合は、独特のマシンコンセプトがそのリザルトに反映される格好で、とくにキミ・ライコネンにそれが顕著にあらわれている。

 レーシングポイント(前フォースインディア)は順調にシーズンを走り出したものの、いつのまにか見えなくなってしまった。2018年仕様にわずかに手を加えた程度のマシンなのだから、今後はますます取り残される一方だろう。

 さらに悲惨なのが毎戦毎セッション最後尾につけているウィリアムズだ。かつての名門の実績も過去の栄光でしかなく、戦闘力が高いメルセデスのパワーユニットをもってしても、ラップタイムあたり2~3秒遅れがもはや常態化している始末である。

 サマーブレイクを経て、シーズン後半戦は9月1日のベルギーGPから再開する。すでにここ数戦のレースにその「兆候」が見られるように、後半戦の展開は前半のそれとは、いささか異なったものになりそうだ。

 まず注目したいのは、シーズン屈指の高速コース、スパ・フランコルシャン(ベルギーGP)とモンツァ(イタリアGP)の2戦でフェラーリがどんな戦いを見せるのかだ。最高速ではメルセデスやレッドブルを上回るフェラーリが、その優位を勝利に結びつけることができれば、シーズン前半の悪い流れを変えるきっかけになるかもしれない。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る