今季F1の前半戦総括。レッドブル・ホンダがレースを面白くしている!

  • サム・コリンズ●取材・文 text by Sam Collins
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 彼らは、日本のスーパーフォーミュラーに参戦していたことでも知られるピエール・ガスリーにかなりのプレッシャーを与えた。実際、レッドブルに昇格後、伸び悩んでいるガスリーは、チームメイトのフェルスタッペンに大きな差を付けられ、アルボンにシートを奪われてトロロッソへ降格してしまった。

 若い才能の出現に大きなプレッシャーを受けているもうひとりの選手が、4回の世界タイトルを獲得したセバスチャン・ベッテルだ。ベッテルは今季、何度も不要なミスを犯している。なかでも記憶に鮮明なのは、フェルスタッペンに突っ込んだシルバーストン(イギリスGP)だ。彼にプレッシャーを与えているのは、超名門フェラーリに今年から加入して大いに才能を発揮しているモナコ人ドライバーのチームメイト、シャルル・ルクレールの存在。

 ルクレールを得た今シーズンのフェラーリは、メルセデスと激しいタイトル争いを繰り広げていてもおかしくなかった。だが、ミスの連続がイタリアの名門に大きな痛手を与えてしまった。バーレーンでは、ほぼ手中に収めたはずの優勝をエンジントラブルで逃した。オーストラリアやモナコ、オーストリアでは戦略ミスが原因で勝利を逃し、ルクレール自身も自らのミスでバクー(アゼルバイジャンGP)、ホッケンハイム(ドイツGP)、ハンガロリンク(ハンガリーGP)でクラッシュしている。だが、現在21歳のルクレールは、F1でまだ2年目だ。ある程度のミスは許容範囲といえるかもしれない。マシントラブルには、ベッテルも何度か泣かされている。

 ここで重要なのは、フェラーリはもっと優勝数が多くてもおかしくなかったはずなのに、高い温度条件で苦戦するメルセデスの弱点を突いたのは彼らではなく、レッドブルだった、ということだ。ちなみにドイツGPではメルセデスの両選手ともウェット路面でミスを犯し、ボッタスはクラッシュしてリタイア、ハミルトンも散々な内容でかろうじて9位で終えている。

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