ホンダ勢トップドライバーは残留。
来季インディの勢力図はどうなる?

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 2017年シーズンに向けて、エド・カーペンター・レーシングからニューガーデンを引き抜いた時にも、「ペンスキーはほしがりすぎる」と言われたものだ。当時のレギュラーもエリオ・カストロネベス、ファン・パブロ・モントーヤ、ウィル・パワー、パジェノーと豪華だったが、ニューガーデンと契約。ランキング8位だったモントーヤはインディ500を含む2戦だけの出場とされ、シートはニューガーデンにあてがわれた。

 現在のチーム・ペンスキーのラインナップは、ニューガーデン、パジェノー、パワーの3人。今回、ロッシを迎え入れるなら4カー体制にするしかないと見られた。同時に、ランキング上位5人のうち4人を独占するチームができれば、1強体制は盤石となり、インディカー・シリーズの"誰が勝つかわからない"醍醐味が大きく削がれてしまうことが懸念された。

 だが結局、ペンスキーは、3カーから4カーへと体制を拡大する決断を下せなかった。そこが今回の残留劇のひとつのポイントだったようだ。

 アンドレッティ・オートスポートからの発表によれば、2019年のロッシはインディ500と最終戦ラグナ・セカ(ロッシの地元カリフォルニア州ネバダシティに最も近い)を含む9戦をNAPAオートパーツの黄色と青のカラーリングで走り、7戦をオートネイションという自動車ディーラー網のスポンサーカラー、ピンクで走る。オートネイションのサポート強化により、ロッシは納得のいく待遇(=十分なサラリー)が得られることになったようだ。

 だが、それよりもロッシは、彼自身が持つアンドレッティ・オートスポートとホンダに対する忠誠心、そして、ホンダエンジンを使うチームの可能性に期待したのが残留決定の大きな理由だという。

「多くの要素を検討し、残留を決断した。今シーズンの僕らは、お互いを深く信頼してすばらしいパフォーマンスを発揮している。そこが大事だった。このチームは僕にとっては家族。アメリカのレース界でまったく知られていない僕を2016年に起用してくれたのがマイケル・アンドレッティだった。この3年半の僕らは、衝撃的とも言える好成績を残してきた。そして僕らはまだ強くなれる。それが可能な体制が整っている」

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