ホンダとトロロッソの清く情熱的な関係。クビアトの表彰台に思わず涙 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「『ドライタイヤに交換する準備はできているか?』と無線で尋ねたら、走りながら『トラックはもう十分スリックタイヤを履けるくらい乾いてきている』と伝えてきたので、我々も決断を下すことができた。あの決定には、ダニーからのフィードバックが非常に大きな役割を果たしたよ。非常にクレバーなレースをして、いかに成熟したドライバーであるかを証明したね」

 いち早くドライタイヤを履いたクビアトは、セーフティカー先導中にクビアトよりも先にタイヤ交換を済ませて前に出ていたランス・ストロール(レーシングポイント)を余裕で抜き去って2位に浮上し、フェルスタッペンに続いてホンダ勢でワンツー体制を構築した。

 ストロールを抜きあぐねたバルテリ・ボッタス(メルセデスAMG)が57周目にクラッシュしたため、再びセーフティカーが入り、築き上げたギャップはなくなった。それによって、背後に迫ってきたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)を抑え込むことができず3位に下がったが、それでもストロール以下は寄せつけることなく64周目まで力走を見せ続けて、そのままチェッカーフラッグを受けた。

 その間、ホンダもトロロッソとの初表彰台獲得に向けて猛プッシュをしていた。

 ホンダの副テクニカルディレクターで、トロロッソ側の運営責任者でもある本橋正充エンジニアは、興奮に包まれた当時のエンジニアたちの様子をこう語る。

「レースの途中からインターコムのやり取りもテンションがかなり高くなってしまって、『1回ちょっとクールダウンしようぜ』って言ったくらいです(苦笑)。残り10周くらいはプッシュ、プッシュという感じでした。

 普段だったら『もうちょっとパワー出せない?』くらいのやり取りですが、今回は『パワー出すしかないっしょ!』みたいな雰囲気で。まだ走ってるんだから落ち着けって言いました。フィニッシュしてパルクフェルメに止まるまでは、常にデータをチェックしておかないといけませんからね」

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