最高に盛り上がった鈴鹿8耐。だが、その結末の後味は悪かった (4ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 だが、いずれにせよ、赤旗提示のタイミングが遅きに失したことは間違いないだろう。そのために、観客の前ではヤマハの5連覇達成を祝福する表彰式典が行なわれ、2時間後にカワサキの優勝としてリザルトが発行しなおされるという、ちぐはぐな結末に至った。

 繰り返すが、レースディレクションはSERTが白煙を噴いた段階でレースを停めるべきだった。たとえレースが5分を残した段階で中断したとしても、あの状態からヤマハのロウズがカワサキのレイを逆転していたとは非常に考えにくく、カワサキの優勝を疑うものはおそらく誰もいなかっただろう。最終的には、順当なレース結果となる判断が下されたとはいえ、8耐史上空前と言っていい緊迫した展開が、妙に落ち着きの悪い幕切れになってしまった感は否めない。

 2019年の8耐は、終盤に最高の盛り上がりを見せた一戦として語り継いでゆきたいが、奇妙な後味を残した幕切れとしても記憶に残ってしまったかもしれない。

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