レッドブル・ホンダの優勝はホンモノ。
高速サーキットで十分に戦える

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 これは前戦オーストリアGPあたりから散見されていた症状で、「フリー走行や決勝の走り方では出ず、予選アタック時のみ出る」と言う。

 マシンの限界まで攻めた時、ドライバーは通常時よりも速いスピードでスロットルを操作する。それがホンダの想定以上の速さだったために、出力がついてこなかった。それはまさしく、マシン挙動がそれだけよくなっていることの証に他ならない。

「マックスのスロットル操作の速さがこれまでになかったような速さだったから、セッティング上で想定されていなかった。マシン的には、これまでできなかったこと(素早いスロットルワーク)ができるようになったとも言える。ホンダは今回の数値を元に、ダイナモ上で対策を図ってきてくれるはずだ」(クリスチャン・ホーナー代表)

 シルバーストンは高速コーナーが連続するだけでなく、スロットル全開率も70%近くあり、超高速のモンツァに次いでパワー感度(出力がラップタイムに与える影響)の大きいサーキットだ。鈴鹿と同じように、マシンの総合力が高い次元で求められるサーキットだとも言える。

 そこでトップにこれだけ肉薄し、決勝ではフェラーリのシャルル・ルクレールを追いかけ回して珠玉のバトルを演じて見せた。ストレート速度の速いフェラーリを抜くのは容易ではなかったが、純粋なペースではレッドブル・ホンダのほうが速かったのは明らかだった。

 オーストリアではスチュワード(審査員)の裁定を巡ってひと悶着あったふたりだが、フェルスタッペンも激しいバトルは望むところだと言った。

「オーストリアの一件から、ルクレールはちょっと不機嫌な様子だったし、今日のディフェンスもすごくハードだったけど、いいレーシングだったと思うよ。僕は全面的に大歓迎だ。

 ただ、マシンにダメージを負いたくなかったから、必要以上のリスクは冒さないようにしたよ。なぜなら、僕らのマシンのほうがかなり速いのがわかっていたからね。

 だから、あとはちょっとした流れを掴むだけでよかった。チームがいい戦略で僕にチャンスを与えてくれたから、すべてはうまくいっていたんだけど......」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る