レッドブル・ホンダの優勝はホンモノ。高速サーキットで十分に戦える (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「コーナリングとストレートラインスピードの最適な妥協点を見つけ出すことができたんだ。ウイングを見れば、僕らがメルセデスAMGよりも少し薄いウイングを使っているのがわかると思う。実際、ストレートでの速さはそれほど違わない。それでも、高速コーナーでいいパフォーマンスが発揮できている」

 依然として予選では、ホンダのパワーユニットは最大出力でメルセデスAMGやフェラーリに後れを取っている。その分、ダウンフォースを削り、空気抵抗を小さくして車速を稼ぐしかない。

 今までのレッドブルは空力性能が不十分で、ダウンフォースを削ることが難しかった。しかし、ここでそれが可能になったのは、フランスGPとオーストリアGPに投入した空力アップグレードのおかげだ。

 予選では「ターボラグ」が出て、低速コーナーの立ち上がりでスロットルを踏んでもパワーがついてこなかった。最終コーナーの先はターン3まで長い全開区間が続くだけに、初速の差は大きく響いてしまう。ラップタイムではわずか0.183秒差だっただけに、「そのロスがなければポールポジション争いさえ可能だったのでは」と、フェルスタッペンは言った。

 ターボエンジンはエンジン排気でタービンを回し、その回転でエンジン吸気を圧縮して出力を増大させる。エンジンが回っていなければ排気がないから過給はされず、エンジンが回り始めたところで過給されて、後からパワーが急に出る。これが、一般的に言うターボラグだ。ターボの構造上、これは絶対について回る。

 しかし、今のF1のパワーユニットは「スロットル操作に対して、どれだけトルクを出すか」というトルクマップで複雑に制御され、MGU-K(※)とMGU-H(※)の2種類のハイブリッドシステムを使い、電気でターボを回して過給する「Eブースト」という使い方もできる。

※MGU-K=Motor Generator Unit-Kineticの略。運動エネルギーを回生する装置。
※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 フェルスタッペンが感じた「ラグ」は、ターボだけに由来するものではなく、これらを総合的に制御するセッティングの煮詰め不足だったと、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは説明する。

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