エアレース室屋義秀に不可解判定も、次戦・千葉での王座奪還へ前を向く

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Andreas Langreiter / Red Bull Content Pool

 2009年のデビュー以来、室屋義秀がレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップを戦うのは、今季で8シーズン目になる。2017年には年間総合優勝を果たしたが、そこまでの道のりで、いや、世界チャンピオンになったあとでさえも、さまざまなアクシデントに見舞われてきた。

 そのなかには、ジャッジに関するものもいくつかあった。

 たとえば、2010年第3戦では、トップ12(現在ラウンド・オブ・14に相当する第1ラウンド)でDQ(失格)のペナルティを受けたことがある。高速ターンでのコース取りのズレを修正しようとしたとき、アンコントロールの状態になったと判断されたからだ。

 室屋にとっては、「通常の高速旋回における機体の挙動」。ジャッジの判断は「機体が降下して危険だった」。納得はできなかったが、一度下された判定が覆るはずはなかった。

 また、2016年シーズン前には、時間をかけて作り上げ、新たなシーズンから導入を決めていたウイングレットの使用が認められないということもあった。明文化されたルールには一切抵触していないにもかかわらず、過去に前例がないほどサイズが大きかったことで、「危険だ」と判断されたからだ。

 しかし、今回のレースで起きた"ミスジャッジ"は、過去の例と比べても、かなり室屋へ不利に働くものになったのではないだろうか。それほどに、理不尽で不可解なものだった。

まさかの判定もあり、エアレース第3戦を12位で終えた室屋まさかの判定もあり、エアレース第3戦を12位で終えた室屋 現地時間7月13日、14日にハンガリー・バラトン湖で行なわれた2019年シーズンの第3戦。アクシンデントは、13日の予選で起きた。

 現在チャンピオンシップポイントランキングで首位に立つ室屋の予選スタート順は14人中の最後。室屋は、まず予選1本目で全体3位のタイムを記録すると、2本目では「すべてのターンで目一杯攻めて、トップのマルティン(・ソンカ)をまくりにいった」。

 リスク覚悟の一発狙いは、結果的にペナルティを取られ、トップには届かなかった。だが、2本あるフライトを有効に活用し、しっかりと予選のポイント獲得圏内である3位に入ったのだから、悪くない結果だった。

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