ドゥカティは欠点を改善できるか。ドヴィツォオーゾの忍耐も限界だ (2ページ目)

  • ニール・モリソン●取材・文 text by Neil Morrison
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 この問題について、ドヴィツィオーゾは幾度となくドゥカティのマネジメントに訴えてきたが、あまり聞き入れられた様子はない。たとえ2019年の後半を犠牲しても、今は長期的な視野で検討しなければならない時期なのだ、とすらドヴィツィオーゾは言う。

「将来に向けた戦略を立てる必要がある。この状況を一変させるためには、僕たちはもっともっとがんばらなきゃいけないんだ」

 ここ2戦のドゥカティは、厳しいレースの連続だった。アッセン(第8戦・オランダGP)は切り返しで苦労し、ザクセンリンク(第9戦・ドイツGP)では、デスモセディチのポテンシャルを削ぐようなコーナーの連続に苦しめられた。ジャック・ミラー(プラマック・レーシング)の言葉を借りるなら、「もう、そこらじゅうで滑るわ、跳ねるわ、暴れるわ」という状態で、「乗っていて、ぜんっぜん楽しくなかった」のだとか。

 ザクセンリンク・サーキットはタイヤのエッジを使って旋回しながら坂を急激に下り、あるいは登っていく高低差の激しいコースで、旋回に問題を抱えるドヴィツィオーゾはスロットル操作を犠牲にせざるをえなかった。

「ハードブレーキングが必要なのはほんの2、3カ所で、とくに高速コーナーではフロントから旋回していく感覚がまるでなかった」と、ドヴィツィオーゾのチームメイトで4位のチェッカーを受けたダニロ・ペトルッチは話す。

「3コーナーから11コーナーまでは、ずっとブレーキを使わずにスロットルの加減で操作をするので、フロントタイヤに加重していかないんだ。そこが僕たちの弱点で、昨日(土曜)は9コーナーで少しがんばってみたら、気がつくとコースサイドで転んでいたよ」

 ここ数年はずっと、こんな状態が続いている。そして、この欠点は「バイクのDNA」なのだと、ドヴィツィオーゾは言う。

 彼がマルケスの最大のライバルであった2017年と2018年、彼らはこの短所にさほど注力をしてこなかった。現在、ドヴィツィオーゾとペトルッチはそれぞれランキング2位と3位につけているとはいえ、それにしてもなぜ彼らはここまで苦戦を強いられているのだろうか。

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