レッドブル・ホンダ2連勝の可能性。イギリスGPも暑くなってほしい (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかしその一方で、ホンダは冷静だった。田辺豊治テクニカルディレクターは言う。

「頂点に立つことによる喜びや興奮を実感して、会社のなかの雰囲気は明るくなったし、声をかけ合って微笑み合うことも増えてきたような気がします。今まで空気が重かったわけではないし、勝てると思ってやっていたけど、本心ではいつになれば勝てるのかっていう気持ちもあったはずですから。

 でも、だからといって手放しで喜んでいるわけでもない。それはミルトンキーンズのメンバーもHRD Sakuraのメンバーも同じですね」

 レースを終えて、すべてのデータをあらためて詳細に分析した結果、オーストリアGPではレッドブル・ホンダが上位2強とのギャップを縮めて追いついたというより、2強が戦闘力を落とすことでギャップが縮まったことは明らかだった。

「オーストリアの場合はあのコンディションのなかで、ドライバー、タイヤ、車体、パワーユニットのパッケージがああいうパフォーマンスを発揮できて優勝できたことがわかった。だけど、開幕前テストからここまでを考えれば、それは今回のコンディションのなかでの結果であって、急にギャップが縮まって上位に並んだわけでもない。それは、自分たちがよくわかっています」

 田辺テクニカルディレクターが言う「あのコンディションのなか」というのは、どういう意味か。それは、「暑いコンディション」という意味だ。

 今週、どんな条件が揃えば勝てるのかと聞かれたマックス・フェルスタッペンは、こう答えた。

「気温40度かな(笑)。暑いコンディションのほうが、僕らとしてはうまくいくからね。ドライバーとしては、もっとグリップ、もっとトップスピードがあればと願うのは当然のことだよ」

 つまり、暑ければメルセデスAMGは冷却不足の問題を抱えてパワーダウンを余儀なくされる。フェラーリもメルセデスAMGほどではないにせよ、レッドブル・ホンダ以上にパフォーマンスの低下を強いられていたようだ。

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