何度でも分析したい。
レッドブル・ホンダが優勝できた5つの要因

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 しかも、スタートで出遅れて2位から8位まで後退し、ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)、キミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)、ランド・ノリス(マクラーレン)を抜いてポジションを上げながらだ。その追い抜きもすべて一発で仕留めていったことが、パワーユニットに優しく、熱によるパワー低下を避けることができた。

「吸気温度が高くなってくると、パワーを落とさざるを得ないと言うか、(安全機構で)自動的に落ちる部分も出てきます。あれだけ前走車にくっついて走ると、タイヤもブレーキも厳しい。

 他のクルマはトレイン(数珠つなぎの渋滞)のなか、ずっとくっついて走っていたので厳しかった。だが、マックスは前のクルマについてもすぐにパスして順位を上げていったので、問題になりませんでした」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 そして第2スティントでは、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、ボッタス、そしてルクレールを思い切りよく抜いて、首位まで浮上してみせた。ルクレールとの接触が審議対象となったが、コーナーのエイペックスまでに抜いていたと判断され、フェルスタッペンの優勝が確定した。

「(ルクレールとの)2回目のバトルでは、少しブレーキングを遅らせてコーナーに入っていったんだ。コーナーの中から出口にかけてのエリアで僕らは軽く接触したけど、あれは純粋なレースだったと思う。

 どういう流れであのコーナーを迎えるかにもよるけど、もし彼がターン3に向けてドアを完全に閉めてきたら、僕はターン3からターン4へ向けて(立ち上がり重視で)彼を抜こうとしただろうね。前のクルマがどうディフェンスするかによって、オーバーテイクを仕掛けるポイントは違ってくるんだ」(フェルスタッペン)

 目の覚めるような見事なドライビングで、母国オランダから詰めかけたオレンジ色のフェルスタッペン応援団を大いに沸かせた。

 そして、5つ目が、パワーユニット。

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