2019.06.28

最速男がいても何か足りない。
米レース界の名門アンドレッティの現在

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 しかし、チームオーナーになってからはインディ500で5勝している(2005年ダン・ウェルドン、2007年ダリオ・フランキッティ、2014年ライアン・ハンター‐レイ、2016年アレクサンダー・ロッシ、2017年佐藤琢磨)。

 ロードアメリカでのロッシの優勝は、アンドレッティ・オートスポートにとっての通算64勝目だった。他のカテゴリーを含めると、アンドレッティ・オートスポートは、決して長くはない歴史のなかで、すでに200勝以上をマークしている。ちなみに今年が創立50年目となるチーム・ペンスキーは、同じ2003年から現在まででダントツの94勝を記録。1990年発足で、ペンスキーを脅かす強豪となったチップ・ガナッシ・レーシングは65勝だ。

 優勝回数からすれば、アンドレッティ・オートスポートはすでに一流チームだ。しかし、なぜか真の一流とは感じられない。何かが足らず、”1.5流”感が漂っている。

 チームは、2003年にマルチカー体制をスタートさせた。経費節減が時代の流れとなり、テスト日数が制限されるようになったため、マイケルは4カーエントリーでプラクティスや予選、レースで得られるデータを増やし、それをアドバンテージにしようと考えたのだ。最初の年は2勝だけだったが、トニー・カナーンがチャンピオンに輝き、3年目にはシリーズ17戦のうちの13戦で優勝。6勝したウェルドンがチャンピオンになった。その後もフランキッティが2007年、ハンター‐レイが2012年にチャンピオンになっている。

 アンドレッティの成功を見て、チーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ・レーシングも体制を拡大した。現在はガナッシがスポンサー不足から2カーに縮小し、ペンスキーは3台体制がベストとの結論に達しているが、アンドレッティは2003年から4台体制を保ち続け、インディ500にはさらに1台か2台をエントリーさせている。

 しかし、古豪ペンスキーが安定した強さを発揮し続けているのに対して、近年のアンドレッティは伸び悩んでいる。両者の差は、活動資金の安定度とドライバーのクオリティにあると言っていい。