レッドブル・ホンダ、空力性能の改善が急務。
スペック3投入も結果出ず

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

「マシンバランスはとくに問題なかったよ。でも、1周目の攻防を見てわかるように、上位と比べてトップスピードが欠けていたことは間違いない。後ろのマクラーレン勢にさえ負けていて、彼らのほうが圧倒的に速かったからね。ストレートでのタイムロスは大きかった。それと同時に、マシンの車体性能も最大限に引き出せたとは言えなかったね」(フェルスタッペン)

 予選でマクラーレン勢に0.009秒差まで肉薄されたのは衝撃的だったが、アタックにミスがなければ0.3〜0.4秒の差はついていた。しかし、トップと1.247秒もの差をつけられ、2強にまったく歯が立たなかったことのほうが衝撃は大きかった。

「決勝ペースは問題ない。フェラーリとも戦える。しかし、問題は予選だ。もっとアグレッシブなモードがほしい」(ヴァシェ)

 決勝よりも予選で差が開いてしまうのは、他メーカーが予選で「パーティモード」などと呼ばれる特殊なモードを使い、多少の負荷やダメージには目をつむってでも、エンジンパワーを捻り出してくるからだ。

 ホンダがフランスGPに投入したスペック3は、IHIが開発したターボにホンダジェットのノウハウを組み合わせて、さらなるターボ効率の向上を図ったものだ。これによって従来よりも少ない排気圧でターボを回すことができ、そのぶんだけエンジンパワーを確保することもできれば、MGU-H(※)で発電するためのモーターに振り分けることもできる。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 しかし、それは決勝での連続周回でこそ生きてくるもので、ICE(内燃機関エンジン)の燃焼系自体にはそれほど手は入っておらず、ピークパフォーマンスが大きく進歩しているわけではない。スペック3で走ったトロロッソのダニール・クビアトとスペック2のアレクサンダー・アルボンを比べても、目に見えるほどの大きな差がなかったのが、その最たる証拠だ。

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