君はマン島TTを知っているか。
100年の歴史に挑む日本メーカーの軌跡

  • スティーヴ・イングリッシュ●取材・文・撮影 text & photo by Steve English
  • 西村章●翻訳 translation by Nishimura Akira

 ヒックマンの活躍はめざましく、今年は3カテゴリーのレース(スーパーバイク、スーパーストック、スーパースポーツ)で優勝を飾った。彼と互角に戦っているのはディーン・ハリソンのみで、この両名がレースのハードルを上げているような状態だ。「ヒッキー・ハリソン直接対決」という新聞の見出しは、ここ数年の定番になっている。今年もまた3勝を挙げたヒックマン有利とも見えたが、メインイベントのシニアクラスで勝利をもぎ取ったのは、カワサキを駆るハリソンのほうだった。

 今年のマン島は悪天候によるレース進行の順延が続き、最終日にはいくつものクラスの決勝が一気に行なわれたが、そこで勝利を収めて世界中のファンを感嘆させたのは、勇を鼓してリスクを賭け、自らの手で栄光を掴み取りにいったライダーたちだった。

「なぜ走るのかって? 走れるからに決まってるじゃないか」

 そう言い残して、男たちは世界最高のサーキットへと走り抜けていった。

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