レッドブル・ホンダ、弱点ばかりを露呈。すべての点が中途半端だった (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 セクター3は、レッドブル・ホンダが苦手とする要素がふたつ重なっていることで、後れが拡大した。

 空力的にマシンが安定しないから、ダウンフォースをつけざるを得ない。それによってドラッグ(空気抵抗)が大きくなれば、パワーでライバルに負けているからストレートではさらに苦しくなる。そして低速コーナーは問題ないとはいえ、メルセデスAMGほどの速さはない――。

 つまりカナダでは、どの点においても中途半端で最強ではなく、どっちつかずの妥協点に着地せざるを得なかった。いわば、レッドブルRB15の弱点ばかりが出ることになってしまった。

 それに加えて、ソフトタイヤスタートのピエール・ガスリーは7周目にピットインしたところで、集団のなかに埋もれざるを得なかった。ストレートが長いカナダではクリーンな空気がマシンに当たりづらく、前走車が吐き出すラジエターからの熱風や高温の排気ガスを取り込むことでエンジンの吸気温度が上がり、パワーが低下してしまった。

「ずっと前走車の背後について走っていたので、パフォーマンスに影響が出てしまいました。想定よりも数度(吸気温度が)高くなることで、結構な影響が出ます。『前のクルマと3秒くらいまで離れて走れ』と指示をしていましたが、そこまで離れると抜けませんので、難しい状況でした」(田辺テクニカルディレクター)

 カナダはストレート主体で特殊なサーキットだ。このようなレースは、年に3度しかない(残るはスパ・フランコルシャンとモンツァ)。バルセロナやモナコのようにコーナーの多いサーキットでは速かっただけに、カナダの週末はワンオフの不振と言えるかもしれない。

 とはいえ、RB15の弱点がハッキリと浮き彫りになったことも、また事実だ。その改善が急務であることは、チーム全員が認識している。

 次戦フランスGPに向けて、車体とパワーユニットの両面でアップデートを間に合わせるべく、ファクトリーでは全力で開発が進められているとヴァシェは言う。

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