苦戦予想もレッドブル・ホンダは前向き。不利より有利を活かせるか (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 何をどう、ファインチューニングするのか?

 カギは6本あるストレートの最高速ではなく、それらをつなぐシケインやヘアピンをいかに速く駆け抜け、速く立ち上がるかだ。

 ジル・ビルヌーブ・サーキットはストレートの長さもさることながら、フルブレーキングと加速を繰り返す「ストップアンドゴー」のサーキット。だからこそ、低速コーナーの速さと出口のトラクション性能が重要になるのだ。

 フェラーリ優勢が伝えられるなか、メルセデスAMGも負けるとは考えていない。それはコーナリング性能とトラクション性能で挽回できるからだと、ルイス・ハミルトンは語る。

「とくに2017年以降はホイールベースが長いこともあって、コーナーでターンするのが難しくて少し苦戦してきた。でも、今年の僕らのクルマは中低速コーナーで大幅によくなっているから、今年はこれまでに比べてかなりコンペティティブだと思う」

 だからこそ、ハミルトンはレッドブル・ホンダがカナダでも速いと予想している。

「今年のホンダは確実に進歩しているし、コーナーの速さを考えれば、レッドブルもかなり強力だと思うよ。フェラーリはストレートで最速のクルマだけど、僕らはコーナーで彼らを捕まえることができた。今週末もそうなるかどうかは、実際に走ってみてのお楽しみだね」

 フェルスタッペンが「思っているほど悪くないと思う」と言う根拠も、それと同じだ。ストレート主体のサーキットでも、ラップタイムはストレートの最高速だけで決まるわけではないのだ。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語る。

「悪くないかどうか......みなさん非常にポジティブな発言をされるので(苦笑)。ストレートが速くても、トラクションがかけられなくて出口で着いていけないと、DRS(※)を効かせても最後に追いつききらない、オーバーテイクしきれないということになりますからね。低速から立ち上がるという意味では、モナコと似たようなところがあると思います。ストレートが長いのでトップスピードやパワーも重要になってきますが、ストレートの長さでいえばバクーのほうが長いですしね」

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

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