2戦連続で表彰台の佐藤琢磨。インディ初制覇のために必要なことは? (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 弱点が露呈したらすぐさま対応、解決しないと、栄えあるインディカーチャンピオンにはなれない。RLLにとって、ピット作業をトップレベルに引き上げるのは急務だ。ピットストップで"悪くてもポジションキープ"ができるよう、チーム一丸となって練習を繰り返すか、交代要員を起用する必要があるだろう。トップチームはピットストップを「順位を上げるチャンス」と捉えている。そこに到達できれば理想だ。
 
 RLLはもうひとつ、乗り越えるべきチャレンジに直面している。デトロイトで琢磨は、「レース1でトップと1秒の差があり、レース2ではそれがさらに広がっていた」とコメントしている。今シーズン、ストリートはトロントの1戦しか残されていないが、ストリートでのパフォーマンス向上のために、RLLのエンジニアリングチームはマシンセッティングで新境地を切り開く必要がある。1戦でも後方集団に沈めば、初タイトルは遠ざかるからだ。

 シーズン終盤戦には、琢磨が昨年優勝争いを演じたトロントやアイオワ、得意にしているポコノの2マイルオーバル、昨年勝ったポートランドのロードコースなどがある。ダブルポイントとなる最終戦は、今年は同じサンフランシスコ圏内でもソノマからラグナセカにコースが変わっており、チャンピオン争いの行方はいつもよりも予測しにくくなっている。

 デトロイトで今シーズン初勝利を挙げた、昨年のチャンピオンで、通算5回タイトルを獲得しているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、「ここから先、どれだけ高い安定性を示せるかが、チャンピオンになれるか、なれないかの差になる」と話していた。ディクソンは去年もデトロイトがシーズン初勝利で、そこからタイトルへと突っ走った。デトロイトのあとに勝ったのはテキサスとトロントだった。彼には6度目のタイトルも見えてきたことだろう。

 それ以外では、速さに磨きがかかっているロッシがタイトル候補の最右翼。チーム・ペンスキーからのエントリーということで、ジョセフ・ニューガーデンとインディ500ウィナー、シモン・パジェノーも強そうだ。さらにパワーが一気に爆発して連勝、タイトル争いへと絡んでくる可能性もある。

 強敵揃いで、昨年より競争が激化しているインディカー・シリーズで、琢磨は初のチャンピオンを目指し、戦い続ける。ドライバーにその力はある。チームが総合力をアップさせ、勢いをつかむことができれば、夢を叶えることができるはずだ。

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