2戦連続で表彰台の佐藤琢磨。インディ初制覇のために必要なことは? (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 だが、走り出しの金曜日にエンジニアがミス。マシンを思うように仕上げることができなかった。「こういうのはチャンピオン争いをしている時にあってはならない」と琢磨は表情を険しくしていたが、担当エンジニアの能力を信頼している彼は気持ちを切り替え、レース1でインディ500に続いての2戦連続3位フィニッシュを飾った。ウェットドライビングが得意な琢磨に、スタート直前に恵みの雨。マシンの悪さが目立たなくなり、それを見事に味方につけた。

 しかし、翌日のレース2はドライコンディションで、マシンセッティングの悪さが露呈。展開を味方につけて一時は3番手まで追い上げたが、終盤、激しくなったバトルで劣勢に立たされ、オーバーテイクを仕掛けて来た相手と接触。琢磨のタイヤがパンクする不運もあって、13位でのフィニッシュとなった。
 
 今後、琢磨がポイント上位で戦っていくためには、RLLのもう一段のレベルアップが必要だ。

 今シーズン、琢磨は何度もピットストップの遅さやミスに足を引っ張られている。バーミンガムでは優勝したことでミスが目立たずに済んだが、インディ500で周回遅れになったのも、タイヤをキッチリ装着しないままピットアウトさせたからだ。それは担当クルーだけでなく、不完全な状況でマシンをコースに送り出したクルーチーフの判断ミスでもあった。

 さらに、デトロイトのレース2では、ピットストップに時間がかかったために、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とポジション争いを行なう事態に陥り、ライアン・ハンター-レイとアレクサンダー・ロッシ(ともにアンドレッティ・オートスポート)にオーバーテイクのチャンスを与え、ひいてはフェリックス・ローゼンクビスト(チップ・ガナッシ・レーシング)との接触にまでつながった。

 パワーは、2位になったルーキーのマーカス・エリクソン(アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)にとうとう最後までアタックできず、3位でゴール。エリクソンの真後ろでチャンスを窺うことのできていた琢磨は、ピットでのタイムロスがなければ、3戦連続で表彰台となっていた可能性が高かった。

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