2戦連続で表彰台の佐藤琢磨。
インディ初制覇のために必要なことは?

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 2019年インディカー・シリーズも8戦が終了した。もう次のテキサスが折り返し点だ。

 インディカー参戦10年目を迎える佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、デトロイト終了までで優勝1回、3位2回の好成績により、ポイントランキングで5番手につけている。

インディ500に続き、デトロイト・レース1で表彰台に上がった佐藤琢磨インディ500に続き、デトロイト・レース1で表彰台に上がった佐藤琢磨 昨シーズン終了後、大勢のファンを前に、琢磨は「初タイトルにアタックする」と宣言したが、その言葉のとおり、チャンピオン争いに加わっている。2017年に世界最大のレース、インディ500で優勝を飾った琢磨にとって、インディカータイトルを次なる目標に定めるのは当然のことなのだ。

 琢磨は高速オーバル、ストリート、常設ロードコースとコースを選ばず優勝できる能力を身につけている。それは誰もが認めるところだ。その彼が"初のチャンピオンシップ"を口にしたのは、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)の実力レベルが上昇している感触を得ているからだ。

 チームオーナーのボビー・レイホールは、チームの総合力向上、とくにエンジニアリングの強化に努めてきた。琢磨とグレアム・レイホールの2カー体制も、昨シーズンを一緒に戦い抜いたことで、ドライバー間の信頼関係が深まっている。

 今年のRLLは、レース現場での琢磨とグレアムによる仕事の分担もシステマチックで、複数の可能性を試してマシンの戦闘力を短時間で高めることに成功している。それがバーミンガムでの琢磨のポール・トゥ・ウィンの圧勝につながった。

 その第3戦終了時点でポイントランキング3番手となった琢磨は、その勢いを持続したいところだったが、ロングビーチは8位、インディのロードコースでのレースは14位と、波に乗り切れなかった。

 しかし、インディ500で3位フィニッシュ。それも、序盤に周回遅れに陥りながらリードラップにカムバックし、優勝争いを行なっている2人に迫った。ダブルポイントのインディ500でトップ3に入ったことにより、琢磨は5番手に下がっていたランキングをひとつ上げた。

 インディカー・シリーズは休む間もなくはデトロイトへ。3日間で2レースを行なうダブルヘッダーだ。

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