レッドブル・ホンダ「モナコSP」投入。セナも勝った秘策でいざ勝負 (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 具体的には、止めるor止めないの「0/100」の決断ではなく、パワーユニットの性能を抑えることと、それによるダメージの軽減度合いを段階的に調整できるよう、制御プログラムを普段以上に手厚くしたということだ。

「『何か問題が起きました、大変です、クルマを止めます!』というのではなく、そういった問題を想定しておいて、何か問題が出たら「このモードにして様子を見ましょう、それでもダメなら次はこのモードにしましょう」という準備をしています。それ(パワーの抑え方)を何ステップか持たせて、『これなら行ける、ここまでは行ける、ここまで行ったらもうダメ』というのを見ながら走り続けるということです」

 しかし、事前に予想されたとおり、メルセデスAMGが圧倒的に速いという状況が変わるわけではない。モナコに限らず、どのサーキットでも今季のメルセデスAMGは中低速コーナーで高い速度をキャリーしてクリアしているからだ。

 たとえばモナコでも、低速ながら左右とクイックに切り返すヌーベルシケインでは、ボトムスピードが74km/h。それに対して、レッドブルは71km/h。続く中速のタバココーナーでも、メルセデスAMGが179km/hを誇るのに対して、レッドブルは173km/hと、差をつけられている。

「どんな種類のコーナーでも、メルセデスAMGの方が少しずつ速い」とフェルスタッペンが語るように、その積み重ねによって、1周で0.820秒もの差がついてしまっているというわけだ。その秒差だけでは見過ごしがちだが、これは1周が短いモナコでは1.15%差にあたり、他サーキットに比べて大きい。

 フェラーリはフリー走行2回目で0.763秒差の3番手につけたものの、前出のヌーベルシケインでは66km/h、タバココーナーでは167km/hと、メルセデスAMGに大きな差をつけられた。ストレートで稼がなければ、中団グループに飲み込まれてもおかしくないほどの速度差だ。

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