インディ500の予選スタート。佐藤琢磨が優勝候補に挙げられる理由 (3ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、予選11位から14位でゴールした。

 第3戦アラバマでポールトゥウィンを飾っている琢磨は今回、チームのロードコース用セッティングが高い戦闘力を持っていることを確認した。予選第1セグメントのグループ1で最速ラップを記録したのだ。しかし、難しいコンディションとなったレースでは、マシンを合わせ込み切れず、ウェットレースを得意とするはずの琢磨が終盤に順位を落としていった。

「レース序盤からマシンが曲がらなかった。レース中によくなった時もあったが、ウェットになってからは、またマシンが曲がらない状況に陥った」と、琢磨は苦しかった戦いを振り返った。これでポイントスタンディングは、4位からひとつ下げて5位となった。

 このインディカーGPは、6年前からインディ500直前に開催され、歴史あるビッグイベントへのムードを高める役割を担っている。インディカーGPの決勝が終わると、2日間休んだだけで、火曜日からプラクティスが始まる。週末の2日間に開催される予選に向けて、4日間を使ってマシンを仕上げるのだ。

 琢磨は、4月末にインディアナポリスモータースピードウェイで行なわれた合同テストで、トップタイムをマークしている。昨シーズン終了後にファイアストンが新しいタイヤのテストを行なった時には、グレアム・レイホールがトップタイムだった。2回の走行で2回とも、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのマシンがトップだったのだ。

 これは偶然ではない。アンドレッティ・オートスポート、シュミット・ピーターソン・モータースポーツ、エド・カーペンター・レーシングで、インディ500での勝利やポールポジション獲得に貢献してきたベテランエンジニアのアレン・マクドナルドが、昨シーズン終了直後にレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング入りした。彼のアイデアを盛り込んだセッティングが、このような成果につながったようだ。

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