インディ500の予選スタート。佐藤琢磨が優勝候補に挙げられる理由 (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 コーションが出た直後、パジェノーはピットインしなかった。その判断自体は誤りだったはずだが、フルコースコーションが長く続いたことで、レインタイヤに交換するチャンスを得て、6番手という上位でレースに復帰することができた。ニューガーデン同様、タイヤチョイスを間違えたチームが多かったためだ。

 もちろん、パジェノーの優勝は幸運だけで得られたものではない。ウェットコンディションでの走りは他を完全に圧倒していた。ドライの時とは明らかに異なるラインを試すクレバーさもあり、速いペースを保ち続けた。

「ブレーキング・パフォーマンスが非常によかったので、大胆に攻め続けることができた。最後は2位キープに傾きかけたが、考え直してさらにプッシュしたら、マシンがそれに反応してくれた。ターン8でのパスは狙っていたものではなく、自然な流れ。ディクソンのターン7出口の加速が悪かった。この勝利は、自分のキャリアのなかで最もうれしいものかもしれない」(パジェノー)

 2016年チャンピオンのパジェノーだが、2018年は新エアロのマシンに手こずり、1勝も挙げることができなかった。今回の勝利は2017年の最終戦以来。「去年は新しい空力になったマシンを理解することに時間を費やした。苦しんだが、マシンは着実に進歩し、今年は非常に高いレベルに仕上がっている。そして、僕自身はタイトルを獲得した2016年よりもドライビングがうまくなっている」と、パジェノーは復活を宣言した。

 今回の優勝により、パジェノーはポイントスタンディングで11位から4位へと一気に浮上。彼の言葉のとおりなら、2度目のタイトルの可能性もあるということだ。

 ポイント首位はニューガーデンがキープ。しかし、今年早くも3回目の2位フィニッシュとなったディクソンが3位から2位へと順位を上げ、その差も6ポイントに縮めた。ポイント3番手はロングビーチで1勝を挙げているアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だ。

 また、インディカーGPでは、まだフルシーズン参戦もできていないメイヤーシャンクレーシングウィズASPMのジャック・ハービーが3位となり、キャリア初の表彰台に上がった。そして4位には、AJ・フォイト・エンタープライゼスで走るインディカー2年目のマテウス・レイストが入っている。

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