「モナコまでに初優勝」に赤信号。レッドブル・ホンダに足りないもの (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 予選でのタイム差は、実に0.951秒。

 レッドブルの分析によれば、ストレートでのパフォーマンスはほぼ同等。しかし、コーナリングで負けているという。

「現時点でメルセデスAMGと比べてしまうと、どんなタイプのコーナーでも僕らは上回っていない。そんなに悪いクルマじゃないんだ。ただ、メルセデスAMGはどんなコーナーでも少しずつ速い」

 グリップが足りないからコーナリングが遅い。その原因は空力にあると、フェルスタッペンは言う。

「今回、アップグレードを投入したことでマシンは速くなった。でも、僕らのクルマはまだ僕らが望んだとおりのグリップを得られていない。だから、コーナーで失うのは当然だ。

 彼らのほうが、ダウンフォースが多い。グリップ不足は空力面に起因するものだと思う。とにかく、何かに問題があるというわけではなく、単純にグリップがもっとほしい」

 決勝で2台のフェラーリを食って表彰台を獲得したように、フェラーリとの差が縮まったことは確かだ。

 しかし、フェラーリはタイヤをうまく使えるかどうかで浮き沈みが大きい。開幕4戦で言えば、バーレーンとアゼルバイジャンではメルセデスAMGを上回る速さを見せたものの、それ以外では後れを取った。

 温度変化にセンシティブで適正温度に合わせ込むのが難しい今年のピレリタイヤを、フェラーリは理解し切れていない。開幕前テストであれだけ圧倒的な安定感と速さを見せたバルセロナでも、路面温度が15度ほど高くなった5月のグランプリ本番ではグリップ不足によるアンダーステアを消せず、コーナーを速く走ることができなかった。

 その浮き沈みを考えずにフェラーリと比較して、一時的な優劣に一喜一憂しても仕方がないとホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは語る。

「予選・決勝の結果からすると、これまでよりは縮まったかなという感じはあります。ただ、フェラーリは浮き沈みが多いので、今回が沈みに当たっているだけかもしれません。もう少し様子見が必要じゃないかと思います。我々もその差を気にしなければならないのは事実ですが、それよりも自分たちの開発に専念し、それを進めていくべきだと思っています」

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