ガラッと変わったスーパーフォーミュラ。
開幕戦でルーキーが大苦戦

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 しかし、新人ドライバーがすぐに活躍できるほど、スーパーフォーミュラの世界は甘くない。ただ速いだけでは結果は残せない、ということを思い知らされる決勝となった。

 2番手スタートのパロウは、チームがグリッド上で輪止めを外し忘れるというミスを犯してしまった。作業禁止時間のタイミングで取り外しを行なったため、スタート手順違反でペナルティを受けてしまう。決勝ではアグレッシブな走りを見せたが、18周目にトラブルが発生してリタイアとなった。

 ポールポジションの牧野はスタートから順調に走ったが、27周目に右リアタイヤが突然外れるというアクシデントでクラッシュ。デビューレースはまさかのトラブルで鈴鹿を後にした。

 また、他の新人たちも「スーパーフォーミュラの洗礼」を受ける厳しい開幕戦となった。坪井、マルケロフ、ニューウェイはQ1で次々とアクシデントを起こし、ティクトゥムも他車との間隔を見誤って満足なタイムアタックができず、Q1敗退を余儀なくされた。

 スーパーフォーミュラは、ドライバーの速さだけではなく、チーム全体としてミスをせずに安定したパフォーマンスを引き出すかが重要になってくる。今年のマシンSF19はコーナリングスピードが上がり、ドライビングが難しくなったと言われている。ルーキーたちは、トラブルやアクシデントに巻き込まれないことの重要性を痛感した1戦だったのではないだろうか。

 そんな波乱の多いレース展開のなか、しっかりと結果を出してきたのは、昨年チャンピオン争いをした山本とキャシディだった。

 キャシディは予選で苦戦を強いられ、まさかの12番手からのスタート。だが、いち早くピットインしてソフトタイヤに交換する戦略が大当たりし、逆転で優勝を飾った。一方、予選3番手スタートだった山本も、レース序盤はミディアムタイヤでペースが上がらずに苦しんだが、最初のセーフティカー導入時のピットインで臨機応変に対応し、順位を上げて2位でフィニッシュした。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る