ホンダがインディカーで快進撃。
なぜシボレー勢より優位に立てたのか

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 アメリカのメディアは去年、「パワーはシボレーの方が出ている」と書きたてた。インディ500においては、それが事実だったのだろう、予選結果に両者の差は如実に表れていた。しかし、レースで圧勝するほど、エンジンのパワーに大きな差があったとは考えられない。

 2012年からインディ500で2勝4敗とホンダに負け越していたシボレーは、アメリカの自動車メーカーのプライドを懸けて、アメリカを代表するレースでの勝利にそれまで以上にこだわり、より狭いバンドでのパワーを絞り出すための開発を行なったのだろう。

 ホンダは今年のインディ500でのリベンジに燃えている。

 インディカー・シリーズは、2021年にまったく新しいエンジンを採用することを決定しており、それまでは現行エンジンに毎年ごく限られた範囲での開発、設計変更しか行なえないルールになっているが、ホンダには、ロード/ストリートコースで発揮しているドライバビリティの高さというアドバンテージがある。

 超高速コースで使われる回転域でも、それが得られるよう、カリフォルニアにあるアメリカン・ホンダのレーシング・アーム、ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)は、日本の研究所と協力して開発作業を休まず続けている。ルールで許される範囲内で、小さな改良をいくつも積み重ね、インディ500での打倒シボレーを目指している。一新されたシャシーの空力解析でも、ユーザーチームへのサポートを続けている。

 ホンダの掲げている目標は、第一にインディ500優勝、そしてマニュファクチャラー・タイトルの防衛、さらにはホンダドライバーをチャンピオンの座に就けることだ。ユーザー層を厚くしたホンダになら、2019年、これらの目標をすべて達成することは十分に可能だろう。



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