ホンダがインディカーで快進撃。なぜシボレー勢より優位に立てたのか (2ページ目)

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 2012年にシボレーが復活してきた際、ホンダは有力チームを囲い込まず、むしろシボレーにチーム選びを優先させた。その結果、しばらく苦戦が続いたが、7年間、ライバルが不在だったホンダは競争する相手が登場してくれたことを歓迎。黙々とエンジンの競争力を高めることに努め、ユーザーチームへのサポート体制を少しずつ強化し、若い才能の起用にも積極的に取り組んだ。ここにきて、その成果がようやく表われたように見える。

 シボレーは2014年から3年間、チーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングという強豪2チームによって勝利を重ねた。しかし、2016年限りでガナッシはよりよいサポートが受けられるホンダ陣営に戻った。2017年はシボレー10勝、ホンダ7勝でシボレーの優位は残ったが、2018年にはホンダ11勝、シボレー6勝と立場が逆転した。

 この2シーズン、シボレーユーザーで優勝したのはチーム・ペンスキーだけだが、ホンダは2年続けて、レギュラー5チームすべてが1勝以上を挙げている。今年新たにホンダユーザーとなったハーディング・スタインブレナー・レーシングも、2戦目で早くも優勝を記録した。

 ユーザーチームが粒揃いになったことで、2019年シーズン序盤のホンダは、シボレー勢で上位フィニッシュとなるドライバーの順位を低くすることに成功。獲得ポイントを349点に伸ばし、シボレーの278点を大きくリードしている。

 開幕戦セントピーターズバーグと第4戦のロングビーチはストリートレースで、第2戦、第3戦は常設のロードコース型サーキット。2タイプのコースでホンダがアドバンテージを得たのは、エンジンのパワーバンドの広さにもあったようだ。低速から高速までコーナーがあるコースでは、どこからでもパワーのツキがいいエンジンの方が有利。扱いやすいエンジンはドライバーの負担を減らすため、予選でもレースでもアドバンテージになる。

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