日産の復活とレクサスの苦戦。スーパーGT開幕戦で見えた勢力図 (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 予選後、マシンを降りたクインタレッリは喜びを爆発させることもなく、好タイムを出せた理由を冷静にこう語った。

「レギュレーションで変更できる部分は限られているので、クルマの開発が大きく変わったわけではないです。ただ、空力面はよくなりました。昨年まではどのコースでもアンダーステアに悩まされていましたが、それも解消されました」

 日産勢が復活の兆しを見せたのとは対照的に、予選で下位に沈んでしまったのがレクサス勢だ。Q2に進出できたのは、2017年に年間チャンピオンに輝いたナンバー37 のKeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ)のみ。Q1で6台中、なんと5台が9番手以下に終わってしまった。

 決勝レースでもレクサス勢は、ホンダ勢や日産勢に割って入るパフォーマンスを見せられなかった。開幕前のテストから「レクサス勢の調子は今ひとつなのでは?」という噂は聞こえていたが、開幕戦でその事実を突きつけられ、レクサス陣営のパドックは重い空気に包まれていた。

「予選のドライコンディションでは、ホンダ勢や日産勢と大きな差がありました。Q1も1台しか通過できていないですからね」

 陣営最上位の6位でレースを終えたナンバー19・ WedsSport ADVAN LC500の坪井翔も、厳しい現状を素直に認めた。

 ただ、低迷したままで終わらないのが、レクサス勢の強みでもある。昨年の開幕戦でも大半のレクサス勢がQ1で脱落を余儀なくされたが、決勝ではしっかりと追い上げて平川/キャシディ組が3位表彰台を獲得した。

 今回は短縮レースとなったためにパフォーマンスを発揮しきれずに終わったが、決勝のレースペースに関しては自信があるという。平川は「一発の速さは改善する必要があるが、決勝ペースは3メーカーとも拮抗している」とコメントし、ナンバー39・DENSO KOBELCO SARD LC500のヘイキ・コバライネンも「ライバルとの差は確実に縮まる。昨年と同じだ」と語る。

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