レッドブル・ホンダの奇襲は不発。明確になってしまった2強との差 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 ルノー製パワーユニットを搭載していた昨年序盤のレッドブルは、上位2強との間に大きな差があり、度々こうした奇襲戦法で活路を見出そうとしてきた。同じ戦略で戦っても勝てるチャンスが皆無なら、少しでも可能性があるほうにチャレンジするのが、彼らのやり方だからだ。

 ホンダとタッグを組んだ今のレッドブルも、それと同じ状況にある。奇しくも1年前、奇跡的に勝利を収めたこの中国で、そのことを自ら証明してしまった。

 時間切れとなってしまった予選最後のアタックが果たせていれば、フェラーリ勢を食って「3位か4位になれたのではないか」と言っていたフェルスタッペンも、決勝を終えた後はフェラーリに負けたと認めざるを得なかった。

「セブ(ベッテル)がピットアウトしてきた直後の、タイヤが温まっていないうちはいいバトルができたし、1回はオーバーテイクを仕掛けることもできた。だけど、そのあとは彼と戦うだけのペースはなかった。一生懸命プッシュしたので結果には満足だし、毎戦それなりにまとまったポイントを取ることができるポジションにはいるけど、メルセデスAMGやフェラーリと戦うにはもう少し速さが必要だ」

 前戦バーレーンGPで抱えたグリップ不足の症状に関しては、メカニカル面のセットアップに問題があったことを究明し、中国GPではしっかりと対策をしてマシングリップを最大限に引き出してきた。

「バーレーンではクルマの持っているグリップ範囲から外れてスライドしていたけど、今週はセットアップの問題を解決することによって解消することができた。バーレーンではかなり妥協を強いられてしまったけど、今週は問題が解決できているから戦闘力がある」

 予選後、フェルスタッペンはそう語っていたが、純粋な速さでは2強に後れを取った。開幕から3戦目にして初めて、低速から高速までさまざまな速度域のコーナーがあるサーキットで走った結果、現在の勢力図をはっきりと突きつけられた。

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