最強の町工場チームの底力を見よ!スーパーGTで「打倒ワークス」 (3ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

「こんな状況でも、周りのみんなが応援してくれるんです。メインスポンサーのホッピーさんを筆頭に、たくさんの仲間が集まってきてくれて......。『もうこれは、自分がやりたいことをみんなが応援してくれているんじゃなくて、25号車はみんなが走らせたいクルマなんだな』という気持ちに変化しました」

 これまでは、土屋監督がやりたいことを貫くために25号車があり、そこに惹かれた仲間やスポンサーたちが集まって応援してくれていると思っていた。それが今では、応援するみんなの希望や夢、想いが25号車に託されていたのだ。それに気づいた土屋監督の心の中には、今までにない新たな目標が強く芽生えた。

 みんなの想いに応えるために、何としても結果を出したい――。

 2019シーズン、つちやエンジニアリングは松井孝允(31歳)に加えて、F1のテストドライブにも参加した経験を持つ佐藤公哉(29歳)を起用。佐藤の加入によってチームに新しい風が吹き込み、25号車は開幕前のテストから好調な走りを見せている。

 岡山国際サーキットの合同テストでは総合クラス2番手、さらに富士スピードウェイで行なわれた2回目の合同テストでは総合トップタイムをマークした。とくに富士は、エンジンパワーがライバルより劣る25号車にとって不利なサーキット。富士ラウンドでは毎年我慢のレースを強いられていたが、セッティングを見直してマシンと向き合った結果、富士でも速さを出せるようになってきた。

 コースサイドでの走行シーンや、マシンをメンテナンスしているピットの様子を見ていると、明らかに昨年とは違った鬼気迫るものを感じる。彼らの想いは、ひとつだ。

 今年は、結果を取りにいく。

 チャンピオンを獲得した2016年。鈴鹿での横転クラッシュからマシンを修復させて戦い続けた2017年。性能調整という難題に立ち向かった2018年......。そこから圧倒的な進化を遂げた「最強の町工場GTチーム」が、今シーズンは底力を見せてくれそうだ。

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