佐藤琢磨、ポールトゥウィンの舞台裏。インディカー参戦10年目の進化

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 サーキット・オブ・ジ・アメリカス(COTA)で行なわれたインディカー・シリーズ第2戦、佐藤琢磨とグレアム・レイホールを擁するレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)のマシンに優勝を狙う力はなかった。第3戦のバーバー・モータースポーツ・パークもCOTAと同じく常設ロードコース。そこで琢磨たちは、マシンのセッティングで新たな試みを行ない、金曜日の最初のプラクティスを走った。感触はまずまずだったようだ。

インディカー・シリーズ第3戦で優勝した佐藤琢磨インディカー・シリーズ第3戦で優勝した佐藤琢磨 しかし、金曜午後のプラクティス2で、RLLはマシンを正常進化させることができなかったばかりか、方向性を見失いかけた。その原因はソフト・コンパウンドのレッド・タイヤにあった。昨年と同一スペックが供給されるということだったが、生産から時間が経っていたためにコンパウンドが硬く変化し、想定していた性能を得られなかったのだ。

 ここでエンジニアやドライバーが混乱に陥れば、惨憺たる週末を送ることになる。しかし、RLLは適切に対応し、予選を前にしたプラクティス3では琢磨が5番時計をマークした。レイホールはコースアウトでセッションを終えたが、それはマシンの感触がよかったためにアグレッシブになりすぎたからだった。

 全チームに本来のスペックのレッド・タイヤが投入された予選。琢磨とレイホールはQ1、Q2をクリアし、揃ってファイナルに進んだ。2人とも今シーズン初のファイナルだ。

 他の4人はジェームズ・ヒンチクリフ(アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、スペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、セバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バサー・サリバン)だった。

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